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建物に関する鑑定評価


建物 借家権

建物

建物は、
その敷地と結合して有機的に効用を発揮するものであり、
建物とその敷地とは密接に関連しており、
両者は一体として鑑定評価の対象とされるのが通例であるが、
鑑定評価の依頼目的及び条件により、
・建物及びその敷地が一体として市場性を有する場合における建物のみの鑑定評価 又は
・建物及びその敷地が一体として市場性を有しない場合における建物のみの鑑定評価
がある。

建物及びその敷地が一体として市場性を有する場合における建物のみの鑑定評価

この場合の建物の鑑定評価は、
その敷地と一体化している状態を前提として、
その全体の鑑定評価額の内訳として
建物について部分鑑定評価を行うものである。

この場合における建物の鑑定評価額は、
・積算価格
・配分法に基づく比準価格 及び
・建物残余法
(敷地の価格を収益還元法以外の手法によって求めることができる場合に、
 敷地と建物等からなる不動産について
 建物等に帰属する純収益から建物等の収益価格を求める方法)
 による収益価格
を関連づけて決定するものとする。

建物及びその敷地が一体として市場性を有しない場合における建物のみの鑑定評価

この場合の建物の鑑定評価は、
一般に特殊価格を求める場合に該当するものであり、
文化財の指定を受けた建造物、宗教建築物又は現況による管理を継続する公共公益施設の用に供されている不動産のうち建物について、
その保存等に主眼をおいて行うものであるが、
この場合における建物の鑑定評価額は、
積算価格を標準として決定するものとする。

借家権

借家権とは、
借地借家法(廃止前の借家法を含む。)が適用される建物の賃借権をいう。

借家権の取引慣行がある場合における借家権の鑑定評価額は、
・当事者間の個別的事情を考慮して求めた比準価格 を標準とし、
・自用の建物及びその敷地の価格から貸家及びその敷地の価格を控除し、
 所要の調整を行って得た価格を比較考量して
決定するものとする。

借家権割合が求められる場合は、
借家権割合により求めた価格をも比較考量するものとする。

この場合において、
前記「貸家及びその敷地の鑑定評価における勘案事項」を総合的に勘案するものとする。

さらに、
借家権の価格といわれているものには、
賃貸人から建物の明渡しの要求を受け、借家人が不随意の立退きに伴い事実上喪失することとなる経済的利益等、
賃貸人との関係において個別的な形をとって具体に現れるものがある。

この場合における借家権の鑑定評価額は、
・当該建物及びその敷地と同程度の代替建物等の賃借の際に
 必要とされる新規の実際支払賃料 と
 現在の実際支払賃料 との差額の一定期間に相当する額に
・賃料の前払的性格を有する一時金の額等を加えた額 並びに
・自用の建物及びその敷地の価格から貸家及びその敷地の価格を控除し、
 所要の調整を行って得た価格
を関連づけて決定するものとする。

この場合において当事者間の個別的事情を考慮するものとするほか、
前記「貸家及びその敷地の鑑定評価における勘案事項」を総合的に勘案するものとする。



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